原宿付近しまいに苦しがって袖の中から、おれの二の腕(うで)へ食い付いた。痛かったから勘太郎を垣根へ押しつけておいて、足搦(あしがら)をかけて向うへ倒(たお)してやった。山城屋の地面は菜園より六尺がた低い。勘太郎は四つ目垣を半分崩(くず)して、自分の領分へ真逆様(まっさかさま)に落ちて、ぐうと云った。勘太郎が落ちるときに、おれの袷の片袖がもげて、急に手が自由になった

この外いたずらは大分やった。大工の兼公(かねこう)と肴屋(さかなや)の角(かく)をつれて、茂作(もさく)の人参畠(にんじんばたけ)をあらした事がある。人参の芽が出揃(でそろ)わぬ処(ところ)へ藁(わら)が一面に敷(し)いてあったから、その上で三人が半日相撲(すもう)をとりつづけに取ったら、人参がみんな踏(ふ)みつぶされてしまった。
2009/06/29(月) 00:45 グルメ 記事URL COM(1)

この記事へのコメント

その影響が校長や教頭にどんな反応を呈(てい)するかまるで無頓着(むとんじゃく)であった。おれは前に云う通りあまり度胸の据(すわ)った男ではないのだが、思い切りはすこぶるいい人間である。この学校がいけなければすぐどっかへ行(ゆ)く覚悟(かくご)でいたから、狸(たぬき)も赤シャツも、ちっとも恐(おそろ)しくはなかった。
森口 2009/08/13(木) 17:42 編集 削除

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